Let’sマイクロツーリズム Duo ふたり旅

青空に手が届きそうなワインディングが誘う

最新軽キャンパーで新しい旅のスタイルを

 

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マイクロツーリズム。このご時世の新しいレジャースタイルとして、人気があるという。自宅から1〜2時間程度の近場で楽しむ旅……うん? それって軽キャンとすごく親和性高いよね!

早速、マックブックを開く僕。1〜2時間で行けるところは……と。距離を表示しながらマップで見てみると、意外にまだ旅をしていない地域があることに気付く。

東京の山の手からなら千葉の内房や埼玉の秩父、富士近辺、そして伊豆。魅力的な土地はいくらでも見つかった。

伊豆かぁ、何度か行ったなあ。でもちょっと待った。東伊豆や中伊豆は行ったけど、西のほうには行ったことがなかった気がする。そうだ、西伊豆はどうだろう。

ガイドブックに手を伸ばし、西伊豆のページを開いてみた。

美しい夕日と海の幸、息を呑む迫力あるリアス式海岸……ガイドブックを開くと旅心をくすぐられるキャッチコピーが並んでいる。スマホに手を伸ばし、キャンプ仲間のステラちゃんに連絡。

「西伊豆、旅しない?」と僕。

「へえー、西伊豆は行ったことないかも。行きたい!」

とステラちゃんはノリがいい。

「クオッカっていう、新しい軽キャンの試乗も兼ねてるんだけどいい?」

「何それ! 面白そう!」

クオッカは、三島ダイハツが初めて製作したキャンピングカー。ハイゼットのパネルバンをベースに内装を富士ヒノキで作った

という、インスタ映え間違い無しのモデル。クオッカを借り出した僕とステラちゃんは、まずは沼津港へと向かった。

海沿いとは言え、今日は特に風が強いなぁ。横風の影響を防ぐために、スピードを控えめにしながらクオッカを走らせた。僕らのお目当ては、日替わりの鮮魚をタワーのように積み上げた海鮮丼が名物の「五鉄」というお店。沼津港には立体駐車場もあるけど、全高1940ミリのクオッカなら気にしなくていいのが嬉しい。

僕らは、五鉄で日替わり鮮魚にイクラ入りの「弐鉄」と、イクラとカニ入りの「参鉄」を注文。

「すごく……おいしい!」と驚くステラちゃん。

参鉄は……もう掛け値なしにお薦め。マグロとイクラとカニのハーモニーがこんなに良い音を奏でるとは! 鳥取で育ち、海の幸にはうるさいと自負している僕でも脱帽だ。

お腹は満たされた。さあ、西伊豆へ入ろう。思い切り空に近い西伊豆スカイラインが、クオッカを駆る僕らを迎えてくれた。

 

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伊豆市の戸田峠から土肥峠の間を走る伊豆スカイライン。

山々の美しい稜線を眺めながら走れる快適な道。


 

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もともとはお仕事グルマがベースのクオッカは、リヤハッチが巨大。キャンプ道具も楽に積み込める。


 

 

日替わり海鮮とイクラとカニのハーモニー

海鮮丼の専門店「五鉄」

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沼津港で捕れた新鮮な魚介類を使った海鮮丼の専門店「五鉄」。営業はネタが終わり次第終了となるため、来店はお早めに!


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本日の海鮮(この日はマグロ)と、イクラとカニが乗ったゴージャスな「参鉄」は2068円。さっぱりと美味な「しらす丼」は1210円。鮮魚とイクラが乗った「弐鉄」は1738円。迷ったら参鉄がお薦め。

海鮮丼の専門店「五鉄」

 

 

20-8松崎町に多い「なまこ壁」。壁面の平らな瓦の継ぎ目を漆喰でかまぼこ状に塗り固める。


 

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干潮時には沖にある三四郎島が陸続きになる堂ヶ島の「トンボロ」。


 

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「車内だけどツリーハウスの中にいるような安心感がある」とご満悦のステラちゃん。


 

 

エメラルドグリーンの海とマーガレットに憩う

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無数に点在する海底火山に目を瞠る西伊豆スカイラインを経て海へと下り、土肥から松崎方面へ向かう。伊豆半島は、かつては海底だったところ。にわかには信じられなかったけど、この海を見て納得した。リアス式海岸、という言葉で片付けるにはあまりにも複雑な地形、海から隆起した奇岩の数々。小さな島は無数にある。

「空も海も、キラキラしてるね」とステラちゃん。

「海が…エメラルドグリーンだね」

日本海を見て育った僕には、黄金崎公園から見た海の色が衝撃だった。青い、のではなく緑。それも澄んだ緑。首都圏から

ほど近いところに、こんな海があるとはね……。

西伊豆の海岸線を走ると、この地域が観光に配慮しているのがよく分かる。ビュースポットには、必ずといっていいほど駐車場が完備されている。僕らは恋人岬から黄金崎公園、そして夕日を拝みに浮島海岸へ。

西伊豆は北から南に向けて走るのもいいし、いったん松崎か伊豆最南端の石廊崎まで走り、ゆっくり北上するのも楽しいと思う。「ここがインスタ映えしそう」と、ヤマ勘で海沿いのスポットを巡っても面白いんじゃないかな。

「次はどこに寄ろうか?」と話しながらドライブしていると、コーナーを抜けた先にヘルメットを被った警察官の姿があった。駐車場へと誘導される。ちょっと待った、スピードなんて全然出してないですから!

てっきり何かの取り締まりかと思ったら、違った。

「このあたり、一昨年は1件も死亡事故がなかったんです」とお巡りさん。

「はい、いいことですよね」と僕。

「それが……去年1件起こっちゃったんですよね」

聞けば、交通安全啓蒙のためにときどきこうして呼びかけを行っているそう。ティッシュとビラを貰って、駐車場を後にした。こういう正しい!?呼びかけ方、すごく効果があると思う。

 

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海底火山の噴火で噴き出した火山灰や軽石などが降り積もってこんな地層になっている。


 

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離れて見ると馬に見えるその名も「馬ロック」。黄金崎公園からが見やすい。


 

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黄金崎公園の遊歩道を歩いていくと、さらに高い位置に「富士見の丘」がある。富士を望む絶好のロケーション。


 

 

海底火山の噴火によって生まれた縞模様の景観

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縞模様の地層からは、かつて本州から800kmも離れていた伊豆のロマンを感じる。


 

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潮風の中でヒノキの香りに癒やされる。クオッカの車内は、シンプルな作りだからこそ、自分の色に染められる楽しさがある。


 

クオッカを止め、シェルの三方を開けてみる。中に入ると、まるで開放的な山小屋だ。

「ヒノキと海の香りが同時にするって、素敵だね」とステラちゃん。

「癒やされるよね」と僕。軽キャンの家具は最近PVCが増えてきているけど、天然木材の良さってやっぱりあると思う。軽量化か、癒やしの空間優先か。難しいところだけど、これからの軽キャンパーの世界はその両立を図っていくんだろう。

クオッカの走りは、想像していたより軽かった。実際乗り出すまでは、木材を積んでいる軽トラのように、かなり重たい走りを予想していた。良い意味で裏切られたというところ。

「軽トラだけど…普通の軽自動車と変わらない感じだね」

普段からクルマに乗るステラちゃんは、なかなか鋭い。そう、あんまり変わらない。

高速道路を数100㎞も移動すれば違うだろうけど、海沿いをのんびり走る分にはパワーもほどよい。

「私なら、旅先でステッカーとか買って中に貼ったりしたいな」なるほどねー。そういう使い方もアリかもしれない。

 

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お土産にグッドな伊勢海老あられは500円。大人も子供も食べやすい優しい塩味だ。


 

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三島由紀夫の文学碑。三島は「安良里」に長逗留するほど、この地の風景を愛していた。


 

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四季折々の風景を夕日が優しく照らし出す。


 

「テーブルや椅子は使い込むほど艶が出てくるでしょ。それもいいよね」

あれ、僕のお株を完全に奪われかねないステキな感想。でも、本当にそう。クオッカはテーブルや椅子がテトリスのように車内に収まってフロアになるというユニークな設計。使っているうちに傷もできるだろうけど、その傷は味になるし旅の思い出になるはずだ。

「ねえ、金目鯛食べたいな」とステラちゃん。そうだね、伊豆に来て金目鯛を食べない手はないよね。

西伊豆を北上し始めた僕らは、金目鯛を食しにまだ訪れていなかった戸田漁港へと向かう。戸田は西伊豆の入り口の方だけど、駿河湾にぐるりと突き出した岬や富士が美しいところだった。

「また来たいね」とステラちゃん。うん、また来よう!

 

丸吉食堂

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「丸吉食堂」へは、戸田漁港からクルマで1分。ノドグロなどの深海魚や、同地の特産品であるタカアシガニも食べられる。

丸吉食堂

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