ホンダNコロ缶スプレーで全塗装するという作戦
風と雨漏りに悩まされ
ホンダN360を缶スプレーで全塗装するというこの企画、それほどの長きにわたり引っ張りに引っ張って、いまだに肝心の缶スプレーが登場して来ない。もうこうなれば、「缶スプレー塗装までに時間がかかった世界記録」を樹立して某団体の認定を受けようかなどと思ってしまう。
言い訳をするつもりはないが、作業をサボっていたわけではない。まず塗装作業のブースから作ったのである。なにしろウチのガレージというか作業場は、場末のコンテナ街をスケールダウンで再現したような荒涼たる環境。
そこで塗装作業をすればホコリまみれになることは必至だし、ご近所へも迷惑となる。ならばと単管パイプを張り巡らし、不気味でオシャレな(?)マジックショーの大道具みたいなガレージを作ったのだ。
さあこれでNコロを存分に直せるぞと喜んだものの、今度はガレージの雨漏りが露呈した。梅雨どきは常に床面に水溜まりができてしまう。屋根のあちこちに隙間や〝寸足らず〟があり、そこから少しずつ雨が吹き込んで来るのだろう。ここに住んでいるわけではないので、オンタイムで雨漏りをチェックできないのがもどかしい。
雨漏りの痕跡に張り紙をして、トラブルシューティンを繰り返す。すると隙間や寸足らずはさして悪因になっていないことがわかった。このガレージは、コンテナの1面を壁として使い、そこを片流れの屋根が緩やかに横切る。その隙間から大量に雨がしたたっていたのだ。
これをシーリング材で塞ぎ、さらに屋根材を継ぎ足すなどして雨漏りは減った。だがなぜか水溜まりが消えない。自分で打ったコンクリ床は中央に向かってくぼんでいて、なんと雨漏りの水を貯め込んでいたのである。そして水が流れ込む方向はと見れば、ドアのない裏口である。
この裏口は外から見てもやや奥まったところにある。雨はさほど吹き込んで来ないと思っていたが、甘かった。ドアを付けなかったもうひとつの理由は、野良ネコである。よく遊びに来るので、ドアを付けては可哀想だと思ったのだ。
しかしネコはコンテナの下をくぐっても来られるらしく、それならばと、とびきり〝キモ無気力〟なドアを作った。ドアノブは子供の頃から憧れていた、「持つと痛い形状」にした。
雨漏りが解決したら、次は収納である。
スペースを大事に
狭いガレージを有効活用しようと、道具類を極力、壁から吊り下げた。輪ゴムやマスキングテープもハサミもゴム袋も吊り下げ式。アメリカンレーキのホルダーは単管パイプの廃材と直交クランプ。
よく使う道具をしまう棚が欲しいと、リサイクルショップなどを探したがどれも大きすぎる。仕方なくあり合わせの木っ端で棚を作り付けた。それだけでは足らないので、輪ゴムから脚立まで、あらゆる道具をフックで吊り下げた。これで狭い空間が少しは有効に使えるはずだ。
脚立も針金で垂木から吊り下げた。その奥のカゴは作業ツナギ入れ。
なんともみすぼらしいガレージだが、ここにいると妙に落ち着くのだ。
不真面目なドア作り
雨が吹き込むので裏口にドアを付けることにした。物置にあった角材を集めてワクを作る。接着剤とコーススレッド(木ネジ)で固定。戸板は最廉価の板を買い、ポリカの透明波板と張り合わせた。
出来上がったヘンなドア。市販の蝶番は買わずに、余っていた単管パイプ用の直交自在クランプを上下に使用。クランプから伸びてドアを支えているのも単管パイプ。
取っ手はできるだけ持ちにくいように取り付けたが、意外にも持ちやすかった。
この不気味な裏口ドアならば、もう近所のバアさんが布団を捨てに来たりしないだろう。
雨漏り対策
片流れ屋根の、雨水の流れる方向を変えるために一部の波板を張り替えた。元の波板の角度だとコンテナの壁を伝って水が溜まる。そこで垂木を追加して1段高位置に波板を張り込んだ。
屋根の端に先曲がりのポリカ波板を使った。これで雨風の吹き込みはいくらか防げるだろう。ホームセンターに行くと、先曲がりの波板はちょっと値段が高いので、これは自分で曲げた。
先曲がり波板は自作できる。平らなポリカ波板を木の板などに挟み、ゆっくり曲げながら屈曲部をガストーチで炙る。
あれこれ心配ごとを解消したところで、ガレージにNコロを入れてみた。
開口部を広くとったおかげで、意外にすんなりと入り、2度の切り返しで中に収まった。ところが奥のスペースがかなり狭いことが判明。
続く…
連載は雑誌オールドタイマーにて要チェック!
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