オイルを好みにチューン ユーザーが選ぶ添加剤

オイルを好みにチューン ユーザーが選ぶ添加剤

 

オイルメーカーが製品にあらかじめ配合する添加剤とは別に、ユーザーが好みで選んでオイルに入れる添加剤も昔から存在する。それこそ玉石混淆で、何が良いのか見えにくいのが実情だろう。

 

添加剤を入れるとは?

粘度指数向上剤、FM(フリクションモディファイヤー)剤、極圧剤、清浄剤、分散剤、防錆剤……。前号では、エンジンオイルの製造時に適時配合される添加剤のうち、代表的な数種類の役割と働きについて解説した。

だが、“オイルの添加剤”と聞くと、ユーザー自らが選んで調達し、エンジンオイルに混ぜて(フィラーから注入して)使うもの、という印象を持つ人も少なからずいるだろう。

 

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1960年代には、すでにオイル添加剤は一般的で、雑誌広告などもよく見られた。その後も廃れずに現在まで進化し続けている事実を見ると、広く市民権を得ている品なのだと理解できる。

だが一方で、「どれを選べばいいか」は永遠のテーマであるに違いない。調べてみると、実に多種多様なオイル添加剤が販売されていることがわかるだろう。それぞれにうたい文句があり、見れば見るほど迷ってしまう。どんな添加剤を選ぶかは自由だが、エンジンというクルマの心臓部に直接注入する以上、ダメモトといった冒険に出るよりも、まずは実績があり、信頼できるメーカーのものを選ぶべきだと考える。

アッシュでは、エンジンオイル用添加剤に2種類を用意しており、それぞれ役割、得られる効果が違う。つまりは、エンジンオイルをさらに自分好みに仕上げる、一種のチューニングパーツのようなものと言えるかもしれない。

2種のうちひとつが即効性を特徴とし、摩擦低減を極限まで追求したもので、エンジン回転のレスポンス重視のもの。エンジンフィールの向上に寄与する。もうひとつが金属表面をコーティングし、ナノレベルの固体潤滑剤で摺動面の荒さを補う、耐摩耗性重視のものである。こちらは内部パーツを保護し、エンジンの耐久性を上げる効果が見込める。

今回は普段と最も違いを体感しやすいだろうということで、筆者の個人車両(13Bロータリー車)でテスト。より即効性をうたうFM-ZEROをまずは使う。

前回のエンジンオイル交換から500㎞も走っておらず、フィラーからそのまま注入した。オイルが古い場合は交換と同時の使用が良いだろう。

走行時のフィーリングは、REならではの滑らかさに磨きがかかったと思えたが、特に顕著に感じたのが始動性の向上である。温間時など、キーを0.5秒もひねれば再始動してしまうほどで、これはエンジン内部のフリクション低減により、セルモーターへの負荷が減った効果ではないかと考えられる。

ちなみに、他社製オイルを使っている、または過去に別の添加剤を入れていたなど、アッシュ以外の製品との相性を気にする向きもあるかもしれないが、一切の心配は無用だ。


 

A.S.H. NANO TECH DPF-7

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平均粒度が0.7ミクロンという、ナノレベルの微細なクラスターダイヤモンドに、グラファイトをコーティングした超高性能固体潤滑剤を配合。エンジン内部の金属摺動面をコーティングすることで摩擦を低減。表面エネルギーを下げることにも繋がり、耐摩耗性も向上する。

参考価格:5816円(200ml・税別)


 

A.S.H. FM-ZERO

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特殊エステルに、複数のFM剤を組み合わせた即効性の特製FM剤を配合。低温時、高温時ともに威力を発揮する、本物志向のプロ用添加剤を一般ユーザーに届ける。巷に流通する添加剤とは次元の異なる、超低フリクションを目指したレスポンス追求型の逸品となっている。

参考価格:2576円(200ml・税別)


 

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FM-ZEROはエンジンオイルと見分けがつきにくい薄茶色の液体。片やNANO TECHDPF-7のほうは、グラファイトに由来するグレー色が強い液体である。両者とも、バイクのような湿式クラッチエンジンへも使用可能という。


 

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始動性すら良くなったように感じた。これは使用するオイルの粘度や気温にも左右され、一概に言うことはできないが、フリクション低減による始動時の負荷軽減が寄与していると思われる。


A.S.H.オイル

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