マニアックスカイライン 輸出仕様「ダットサン240K」という未知の魅力

南半球からこんにちは!輸出仕様「ダットサン240K」

スカイラインほど私たちの心を惹きつけるクルマはないだろう。 それほど特別な存在である。
ロングノーズ、6気筒、S20エンジン、赤バッジ、栄光のサインGT-R、国内レース49連勝……が思い浮かぶ。
しかし、その魅力を掘り下げていくと4気筒、G型エンジン、バン/ワゴン、輸出仕様といったマニアックなモデルに行き着く。
世の中は広い。まだまだ知らないスカイラインがあるものだ。 ディスカバー・スカイライン!
ロングノーズ6気筒は高値で推移しているが、 マニアックなスカイラインには手が届きそうなものも。
未知なるスカイラインとの邂逅を楽しみたいものだ。
スカイラインはハコスカ以降、ジャパンまで3世代にわたって「ダットサン240K」として輸出された。
今回はケンメリにL24を積んだオーストラリア向け仕様車を紹介する!

 

01

 

世界にはまだまだ知らないお宝が眠っているものだ。日本にはもう残っていないはずと思われたものが、海外でひょっこりと出てきたりする。

今回紹介する2台のケンメリはオーストラリアで販売され、現地で使われていた車両だ。海外では「ダットサン240K」を名乗り、豪州やクウェート、欧州の一部、タイで販売され、基本的には日本から完成車を輸出していたようだ。

 

240Kのカタログを見ていて気づいたのは、登場人物がすべて女性であること

A

かつて多くの国産乗用車が海外輸出の際に、働く若い女性向けのセクレタリーカー需要を意識して展開していた。となれば、240Kも同じ販売戦略をとったと考えてもおかしくはない。エンジンもスポーツキャブレターではなく、ノーマルのシングル仕様を選択。コストも抑えつつ、乗りやすいモデルに仕上げているわけだ。今回取材したハードトップ車は既婚の女性が最初のオーナーだった。
若さとスポーティな感覚、高性能を強く押し出した国内のスカイラインに対して、240Kはスタイリッシュでスペシャルティな要素も加えた快適な“コンパクト”カーといったところだろうか。エンジンや外観細部の違いだけに留まらない、輸出仕様ならではのキャラクターの違いもお宝としての魅力を増幅させる。

 

’73年式ダットサン240Kハードトップ

01

ほかに海外向けには160K(1.6ℓ・100ps・セダン)と180K(1.8ℓ・105ps・セダン/ワゴン)のラインアップもあるが、国内と同じG型4気筒を搭載。クロスフローによりもともとパワーがあるから設定されたのかもしれない。

04

 

大排気量ならではの余裕を感じさせる2.4ℓ直6「L24型」

国内向けの2ℓに対して400㏄の増加分が走りにもたらす効果は大きいという。L24は他車種では排気量アップやインジェクション装着に向かうが、240KではC210ジャパンまで使われる。


 

08 07

10 09

リヤコンビランプの国内仕様との違いは内側のストップランプとバックランプが逆の配置に。
外側の外周はスモールランプ。下側のハードトップ車は外側が大きい意匠となる。
GTのエンブレムは国内仕様とは異なる専用品。
ダットサンとスカイラインのエンブレム装着はオーストラリアの州によって異なっていた模様。理由は定かではない。

 

02

 

ダットサン240Kを名乗る輸出仕様車。

型式は国内仕様のKGC110に対してKHGC110を名乗る。

Hは2.4 ℓ エンジン車を示す。


 

1112

国内には強化本木製+部分革巻きステアリングを設定していたが、海外では非設定。革巻き用のデザインで木目調になる。ステアリング中央はDの文字に。
後席は国内と同じ3人掛け。左右の座席のシートベルトは海外の安全基準で国内の2点式から3点式に変更。写真はハードトップ。

1413

左はセダンの㎞表示メーターで240㎞/hスケール(右側が速度計)。右はハードトップに付くマイル表示型で120マイル(約192㎞/h)スケール。

 

 

’74年式ダットサン240Kセダン

18

オーストラリアから’94年に里帰り。その後約15年間プリンス&スカイラインミュージアムで展示。
’18年に3年車検を取得した。4ドアは国内にこれ1台しかないと思われる大変貴重な車両だ。フロントガラスは日本にはない合わせガラス。

 

15 16 17

セダンは3速AT仕様。2.4 ℓエンジンと相まって軽快に走る。ちなみにMTは4速。
ドアトリムにも240K GTのエンブレムを装着。国内は2000GT/同GT-Xの表記。
240Kセダンのコーションプレート。
型式は「HGC110」となる。右側はオーストラリア国内で付けられたプレートだ。

 

当時を語る資料も“輸入”

19

 

 

ハードトップに付いてきたオーナーズマニュアルとサービスノート。
240K GL用とあるが、オーストラリアでは州によって税金対策のためGTとGLのグレード名に違いがあったようだ。


 

22 20

ハードトップに付いていた現地の日産ディーラーのステッカー。バサーストはオーストラリア南東部の都市。
オーナーズマニュアルには、左右ハンドル両方の機能を紹介。英語圏の各仕向地をカバーしている。

21 23

オーストラリアから船便で’19年7月に日本に到着。写真は運搬物の詳細を示した海運会社の伝票。大黒ふ頭で税関の検査を受け、納税し通関が終了。
サービスノートに記載されていた持ち主の情報を見ると「Mrs.」とあり、最初のオーナーが既婚女性だったことが判明。後におじいさんが倉庫で保管。

 24

海外でもGTとしてアピール
当時のカタログでは快適なGT車としてアピール。掲載の車体色は2車ともに同じとみられる。ハードトップは国内には設定がないカラーだ。

カテゴリ一覧へ戻る