【保存版】日本橋老舗物語

【保存版】日本橋老舗物語

 

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今、歴史と文化の町・日本橋が新しい町に生まれ変わりつつある。

再開発で新たなランドマーク誕生や新規店舗が次々と生まれる中でも、昔から現在まで続く創業から100年を超える老舗店を厳選して66軒を掲載しているムックが発売された。今回その中よりオススメ3店をご紹介したい。


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オムライス 好成軒

日本橋で味わってみたい最も歴史ある洋食屋

 

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越前、江戸桜通りを挟んでコレド室町2の向かいにある、日本橋で一番歴史の古い老舗洋食屋。

再開発の影響でこちらに移転してきたので、大正八年(一九一九年)創業の老舗とは思えない新しい店構えだ。

玄関の左右には、家紋と横文字で「KOSEIKEN」がややミスマッチを感じる。

店頭のディスプレイには、料理と一緒にグルメレポーターや有名タレント、アナウンサーなどのサインが飾られている。

店内は、古き良き昭和の落ちついた雰囲気で、居心地良く食事を楽しむことが出来る。

ランチメニューは「カキフライ」「トンカツ」「エビフライとメンチカツカレー」「チーズカレー」(各ライス、味噌汁、お新香付き)等と豊富な品揃え。

なんと言ってもお勧めは、夕方のニュース番組のグルメ情報で度々特集される「とろとろ玉子のオムライス・エビフライ付き」。

ケチャップライスを薄焼き玉子で包んだオムライスをイメージしていたら、

ほどよくレア感を残すほどに焼かれた玉子がケチャップライスにやわらかく優しくかぶせてあるスタイル。

常識を覆すとろとろ感で、ふんわりとした玉子の焼き具合が絶妙。

「エビフライ付き」とあるのもまた嬉しい。

何処のお店でも見られる、お皿の片隅に言い訳程度にエビフライがちょこんと乗っているのではなく、サラダと共に別皿で出てくる。

「ハンバーグ」もお勧め。惜しげもなくたっぷりと掛けられたデミグラスソース。

二週間掛けて牛すじ、香味野菜、鶏皮から作っている。

さらにトマトピューレなどを五日間煮込んで、そこに焼き上げた5キロの牛バラ肉を入れ五日間煮込む。

ハンバーグも八十個入れて肉の味を染み込ませている。その後、さらに四日間煮込んで完成となる。

これでもかと言うほどの手の込んだ下ごしらえ故、優しい味でコクの深さは感動の美味しさ。

料理の他、もう一つの名物が二代目女将・吉野ミヨ子さん。

創業当時は高級店だったが、誰もが気軽に食べられるお店に変えた功労者で、お店での息子・亮一さんとのやり取りも評判になっている。

丁度百年目を迎えた老舗洋食屋さんは、亮一さんの奥さんの八代江さん、孫の一史さんも加わり、親子三代で切り盛りしているだけに親しみやすく、家庭的なお店である。

 

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こじんまりとしているようだが、座席数が82席あり、予約をすれば貸し切りも可能。

二代目女将・吉野ミヨ子さんは若かりし頃の美しさがご自慢。

名物は「とろとろ玉子のオムライス・エビフライ付き」 ¥1,250

ランチメニューは¥1,000(各税込)と庶民的値段。

 

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①03-3241-0613

②東京都中央区日本橋室町1-13-4

③(ランチ)11:30~14:30/17:30

~23:00 土、祝日はランチのみ

④日曜

⑤カード可


好成軒

 

蕎麦 室町砂場

そばは、日本の庶民の食文化。その粋な伝統の味を堪能する

 

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ビルの谷間にありながら、外観は多くの植木で囲まれ風情を感じる。

入口の横にはしだれ柳が植えてあり、都会のど真ん中にありながら、緑を見ながら食事が出来ることが嬉しい。

一見敷居が高そうだが、思い切って暖簾を潜り、店内に足を踏み入れると「いらっしゃ~い」と言う元気な花番さんの声が笑顔と共に出迎えてくれる。

初めての人でも、行きつけの店に入ったように感じる。

女将さん始め、店で働く人たちの気配りが隅々まで行き届いて、庭も眺められる純和風の落ち着いた店内。

一階では、若い女性が一人で江戸っ子のように一品料理とお酒、締めのそばを楽しむ姿もよく見られるようになった。

しばし都会の喧噪を忘れることが出来る。二階の個室は、青々とした畳、イグサの香りが心地よい。

木製の襖、テーブルは掘りごたつ式になっているので、天井がより高く感じられ、とにかく落ちつく。

 

幕末の慶応年間(一八六五~一八六八年)、大坂発祥の「砂場」のいくつかある系統の内の一つであるお店で働いていた村松とくが暖簾分けを受け、芝高輪の魚籃坂に開業したのが始まり。

明治二年(一八六九年)、魚籃坂から日本橋・本石町に「石町砂場」として移転、このときを創業年としている。

大正十二年(一九二三年)の関東大震災後、町名変更により室町四丁目となり、店名も「室町砂場」と改称した。

そばは日本の文化であるという考え、こだわりを持って美味しさに工夫を重ねてきた。

戦後間もなく三代目は、ごま油百パーセントで揚げられた芝海老と貝柱のかき揚げを、濃い口のつゆの中に浸して出したとろ、カラリと香ばしい食感が喜ばれた。

暑い夏でも「天ぷらそば」を食べ易くした冷たいセイロ。今で言うつけ麺スタイルで提供した「天ざる」「天もり」の始まりで、発祥の店と言われている。元々「天ぷらそば」や一品料理の「天ぷら」と、「ざる」、「もり」は何処のそば屋の品書きにもあった。

皿盛り揚げたての天ぷらとセイロのそばを一緒に食べることは、元々何処のお店でも出来たが、「天ぷらそば」をつけ麺スタイルにした発想は独創的だったようだ。

 

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そばは二種類。そばの実の芯だけを挽いたさらしな粉を卵で繋いで打つため、腰の強さとほのかな甘さが溶け合い絹のように喉越しが良い「ざる」と、そばの実の内層だけを使った一番粉の香り高い、ほとんど雑味のない洗練された「もり」の風味が楽しめる。

季節限定の「あられそば」もお勧め。一粒一粒吟味した貝柱をあられに見立てた温かいそば。

将来に残したいメニューである。

また、夏限定の「涼味とろろそば」は、つゆにとろろ、じゅんさい、おくらなどを加えたさっぱり味。

そばのつゆ、砂糖と共に焼き上げる風味が効いた「玉子焼き」も絶品。


 

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看板にも、老舗の貫禄が感じられる。酒と肴と〆のそば。そんな古きよき蕎麦屋の姿を今に伝える名店。

 

①03-3241-4038

②東京都中央区日本橋室町4-1-13

③(平日)11:30~21:00 /(土曜)11:30~16:00

④日曜・祝日

⑤カード不可

 

室町砂場

 

最高級の鳥料理 玉ひで

江戸の文化と文明開化の息吹を感じさせる軍鶏料理の老舗 最高級の鳥料理

 

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人形町駅すぐそばの日本橋小学校付近の角に位置する。

周りの建物と一線を画し、外観は白を基調として、洗練された存在感、風情、品格を醸し出している。

すっきりとまとめられ落ち着きを感じるエントランスは、あたかも敷居が高そうな料亭のような雰囲気が漂う。

人気店だけに長時間行列に並ぶことは覚悟せねばならない。

靴を脱いで食券を購入すると着物姿の仲居さんが案内してくれる。

いろいろなメニューがある中で名物の「親子丼」は欠かせない。

最高級の鶏と銘打っている鶏肉は、もも肉とむね肉の二種類。

もも肉はしっかり火を通して甘めに仕上げ身が締まって歯ごたえがあり、むね肉は淡泊ながらも柔らかく弾力が感じられる。

とじる玉子の表面はふんわりとして、絶妙な半熟加減で旨みが堪能できる。

それはもう至福のひとときの訪れである。

さらに白レバを添えた「白レバ親子丼」は、レバのまろやかな舌触りと、黄金色に輝く玉子で絶妙な味のハーモニーを醸し出している。

さらにお勧めの「鳥すき」は、江戸時代から愛されている伝統の料理。

醤油と本みりんの芳香を生かし、砂糖や酒を一切使用しない割下が特長。

最初に出されるコラーゲンスープが、はやる気持ちを落ち着かせる。

和服姿の仲居さんがお客様のペースに合わせて一枚ずつ焼いてくれる軍鶏を温泉玉子につけて食する。まさに至極の逸品と言える。

 

 

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伝統の味「親子丼」には連日行列が出来るが、長時間並んでも頂きたい。ランチの「炙り鶏」親子丼は、¥1,700(税別)。


 

創業は宝暦十年(一七六〇年)。

創業者は幕府の御鷹匠でもあった山田鐵右衛門が妻の「たま」と共に、屋号「玉鐵]と称して、軍鶏専門の店を出したのが始まり。

当時の常連は大名であったり、富裕層であったりと、庶民相手のお店ではなかった。

慶応元年(一八六五年)には、たべもの店番付「花長者」に紹介されたり、明治八年(一八七五年)には「東京牛肉・しゃも流行見世」の番付に載るなど有名店として評判になっていた。

明治に入って山田秀吉が五代目を継承。「玉鐵の秀さん」という愛称から「玉ひで」の店名が定着し大変に繁盛した。

さらに、秀吉とその妻が割下を玉子でとじて食べていたお客さんの姿から「親子丼」を考案し、これがヒットして全国にその名を知られるようになった。

しかし当時は、器一つで食べられる丼物(汁かけ飯)は、江戸の日本橋の料理店で食するもの、料亭で食べるものではないということで、店で出すことはなく出前のみの品書きだった。

文豪・谷崎潤一郎は『ふるさと』で「向こう角の瀬戸物屋だった店が佃煮屋になっている。鶏屋の玉ひでがそこの二階で営業していると聞いてはいたが、今はその角を西へ曲がって、大体昔の位置に近い所に引っ越している……

今もある玉ひでは私の家から東へ一、二軒目の所にあって、美味しいかしわ屋だったので食べに行ったことはないが終始取り寄せて食べた……。」と、よく食していたことが書かれている。

八代目・山田耕之亮氏と娘・一乃さんが共同企画で東京スカイツリーのたもとにある『そらまち』に「たまひで いちの」をオープンさせた。さらに一乃さんの若い女性の光る感覚で本店地下に作り上げた「ダイニングバー・いち」は、本店とは違ったお客様で連日活況を呈している。

 

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①03-3668-7651

②東京都中央区日本橋人形町1-17-10

③(昼・親子丼)11:00~13:30 / ( 昼・コース)11:30~14:30 /( 夜)17:00~21:30

④定休日あり ホームページかお店に問い合わせ

⑤カード可

 

玉ひで

 

【ムック】日本橋老舗物語

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今、歴史と文化の町・日本橋が新しい町に生まれ変わりつつあります。

再開発で新たなランドマーク誕生や新規店舗が次々と生まれる中でも、昔から現在まで続く創業から100年を超える老舗店を厳選して66軒を掲載しています。

また本誌ではありがちなグルメのみの紹介に限らず、あらゆる老舗を取りあげており、今まで知られてない業種も網羅した内容としております。

 

「歌舞伎役者十代目松本幸四郎」×「鳥料理玉ひで八代目主人山田耕之亮」の特別対談、各著名人の日本橋コラムなど読み応えのある巻頭特集。

 

日本橋老舗各店を1〜2頁体裁にて店の佇まい、店内、料理(商品)、店主の人柄などを紹介。

見やすく分かり易く美しいビジュアルで魅せる誌面構成。

 

掲載店舗はエリア別(室町・本町)(日本橋・八重洲)(人形町)(小伝馬町・東日本橋)に紹介。

エリアごとに散策しながら各店を訪ねることができる「おさんぽマップ」付き。

 

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