燃やせ!ホンダ魂 現役ラリー仕様のRS

燃やせ!ホンダ魂 現役ラリー仕様のRS

 

シビックはかつてモータースポーツで活躍した。むしろアマチュアになじみが深かったのがラリーである。現在、数少ないSB-1のなかでも当時のラリー仕様を実戦向けに再現した1台を見てみよう。

 

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1974年製シビック1200RSのラリー仕様(初度登録は’75年)。2016年度のホンダ学園×東大の海外ラリー参戦プロジェクトで使用された車両である。クラシックカーラリーのレギュレーションにのっとり各部をチューニングしている。

 

 

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外観上はほぼノーマルで、ラリー仕様車でありながらオリジナル度も高い。

よく見れば歴戦のキズ、小さなへこみがわかる。


 

 

 

波瀾万丈なヤツです

察しのいい読者ならもうわかるだろう。

このシビック1200RSは、2016年度のホンダ学園×東京大学の海外ラリー参戦プロジェクトにエントリーするため、ホンダテクニカルカレッジ関東(以下、ホンダ学園)がレストアし、実戦に供された車両である。

車両について説明してくださったのは同校の教員、豊田 剛さんだ。

「初代シビックを選んだのは、’70年代にモンテカルロラリーに参戦した経歴があるからです。ラリー・モンテカルロ・ヒストリックは過去に戦歴があるヒストリックカーしか出られないとのことです」

 

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2016年の4月からレストアを始めて、9月に車検を取得。そのあとロールケージを製作し、サスペンションなどをラリー仕様に改造した。

「ところが、テストを兼ねて参戦した全日本ラリーの新城大会でまさかの横転。ルーフが大きくへこんじゃったんです。

ニュージーランドのタルガフローリオに向けて船積みの時間も迫ってました」

急遽、部品取り車からルーフを移植する大手術を突貫で行い、ニュージーランド行きに間に合わせた。ところが現地での車検前夜、大会主催者からロールケージが車検に適合できないと告げられる。レギュレーションが変わったのか? そこでサービスカーとして持ち込んでいたシビック(前年の参戦車)を見せると、これならOKという。

「結局、駐車場に2台のシビックを並べて箱替え作業ですよ。ロールケージは車体に溶接されているので、それしか方法がなかった。なんとか徹夜で完成させて車検に間に合わせました」

いっそのことサービスカーで参加しちゃえば良かったのでは?

「登録上の問題はさておくとしても、学生たちの思い入れがあります。やっぱり自分たちで苦労して作ったクルマを走らせたい」

そのとき参加した学生のうちふたりが現在、ホンダ学園で教員をされているそうだ。その後もこのシビックは改良が続けられ、ラリー・モンテカルロ・ヒストリックを3回完走した。

ところで学生たちは初代シビックをどう思ったのだろうか。

「とても面白いクルマだと言いますね。今の同クラス車と比べたらエンジンパワーは全然ない。でも車体が軽いから運転がとても面白い。ロングストロークエンジンのパワー感もいいんでしょう」

このラリー参戦ですっかり初代シビックが好きになった学生のひとりは、ついに自分でもオーナーになったそうだ。


 

 

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海外ラリー参戦プロジェクトの8期目、ラリー・モンテカルロ・ヒストリックでのスタート風景。このラリーは1月末から約2週間にわたりフランスで開催され、2500㎞を走破した。SB-1シビックは’70年代にモンテカルロラリーに参戦したヒストリーがあり、この大会にも参加が許されているのである。


 

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前頁で紹介したヤマトシビックにくらべるとノーマル然としたインパネまわりだが、実戦のラリーに必要な装備はすべて備えている。


 

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フロア、ドアシル、ピラーなどしっかりと室内をロールバーで補強しているのがわかる。こうしたパーツが市場にないため、ほぼワンオフで作らなければならなかった。

バケットシートとTAKATAの4点式シートベルトはオリジナルパーツではない。

 

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ホンダ学園の中にある実習室というかクラブハウス。主に旧車好きの学生や教員が集まってコツコツとマシンを作っている。シビックはここでレストアされた。

以前に本誌で紹介した魔改造のNっコロがまだ保管されていた。

 

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外観はほぼノーマルの4気筒OHCエンジンはRSゆえにCVツインキャブを備える。ただし無限製の鍛造削り出しピストンを使うなど手抜かりはない。LSDはOS技研製だ。


 

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旋盤、フライス、溶接機などひととおりの工作機械があるので、大抵のモノは作ることができる。現在、N360をレストア中。


 

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学生海外ラリー参戦プロジェクトのホンダ学園チームを取り仕切った豊田 剛先生。背後にあるエスハチクーペは愛好家有志が持ってきてくれたもので、「今度はこれでラリー車を作ろうと思います」と楽しそうである。ちなみに豊田先生はN360が大好きで、学校の片隅に5台ほど置いている。

 

ホンダテクニカルカレッジ関東

学校法人ホンダ学園が運営する埼玉県ふじみ野市にある二輪四輪開発者や自動車整備士を育成する学校

ホンダテクニカルカレッジ関東

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