手の内に収まるアメリカンスポーツクーペ CHEVROLET CAMARO COUPE(1967年式)

手の内に収まるアメリカンスポーツクーペ CHEVROLET CAMARO COUPE(1967年式)

 

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アメ車といえばボディが大きく強面で、おまけに派手めなイメージを抱いて構えてしまう方も多かろう。だがヴィンテージの域にある1台は少し様子が違う。そのクーペは、上品な佇まいで我々を迎えてくれた。

1967年に登場した初代カマロ。エンジンは直6とV8の2本立てで3.8ℓから7.ℓまでを用意。ボディはハードトップのほかコンバーチブルが設定されていた。

現車は三角窓を備えた67年式モデル。スマートで華奢なバンパーはボディの造形に無駄なノイズを入れず上品で美しいスタイルを見せる。

なお初代は69年までのわずか3年間しか販売されていないため現存台数も非常に少ない。この固体は車両価格538万円。

憧れを実現する最後のチャンスかもしれない。

 

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現車はフレームオフレストレーションが実施され下まわりのコンディションは良好。

パワーユニットは外装のバッジやデカールこそ標準仕様の327Ciとなるが、実際には350Ciにスープアップ。

 

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切り立ったダッシュパネルや上下幅が非常に狭いフロントウインドーは現行カマロにも継承されるアイデンティティ。

このタイト感が心地よい。

 

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フロントからリヤへと緩やかに起伏するフェンダーラインが美しい。ラリーホイールの造形がヴィンテージアメリカンの風合いを際立たせる。


 

 

あの頃のポニーカーは時を超えて愛され続ける

 

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1960年代のアメリカ車において、新しく生まれたカテゴリーが「ポニーカー」だった。アメリカでのポニーは、乗馬をスタートさせる前の子どもに与えられる。

つまり、ヤングエイジのマイカーエントリーモデルとして位置づけられたのがポニーカーである。

なかでも64年に登場したフォード・マスタングはこのカテゴリーの火付け役とも言われる存在だ。

その成功を横目に少し遅れて送り出されたのが初代シボレー・カマロだった。余談だが、このようなことからマスタングが元祖のように思う向きも多いが、ポニーカーの歴史はさらに前の50年代後半に当のシボレーがラインアップしたコルベアが先駆的存在である。こうしてフォードモーターのマスタング、GMのカマロ、そしてクライスラーからはダッヂ・チャレンジャーが出そろい、ポニーカー御三家として、若者たちの食指を動かしたのだった。

 


さてアメリカ車といえば、迫力のボディサイズと大排気量エンジンという形式が浮かぶと思う。だが初代カマロクーペを改めて目の前にすると、そのコンパクトなサイズに驚くことだろう。

昨今のようにゆとりの室内空間を得るため肥満化したクルマたちのほうが、よっぽど大きくやぼったく見えてしまう。

表現するのが難しいけれど、質量が少なくスリム。フロントからリヤへと丸みを帯びながら連なるアクセントライン、絞り込まれたアンダーボディが、現在の自動車にはない美しい造形を構築している。

スロットルをひと蹴りすれば、図太いトルクによりシートに体が張りつく強力なダッシュを見せる、アメ車ならではのテイストももちろん健在だが、この上品なクーペは、例えば湾岸線をゆったり流す姿の方がお似合いだ。実サイズも、車幅さえ除けば5ナンバーに収まるほど小さいから普段乗りでも扱いやすい。

室内に身を置けば、メタリックブルーのダッシュボードやシート、そしてスイッチひとつまでクロム処理され工芸品のような艶やかさを放つ独特の世界に包まれることになる。

60年代のアメリカは自動車はもちろん、多くの工業製品がこうした豪華さを全身に表現していた時代。このクーペは、そんなきらびやかなあの頃のアメリカへと連れて行ってくれる、タイムマシンのようである。

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