発動機大運動会! 会津坂下発動機運転会

発動機大運動会! 会津坂下発動機運転会
日時●2022年6月12日

場所●福島県河沼郡湯川村 道の駅あいづ 湯川・会津坂下

主催●会津発動機愛好会

 

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日曜朝の開会式では、3年ぶりの開催を大いに祝した。遠く新潟に続く山並みなど運動会に最高のロケーションだ。

 

近年のコロナウイルス感染症は多くのイベントを自粛に追い込んだが、発動機運転会もその渦に巻き込まれていた。失礼ながら発動機趣味人の年齢層は、クルマやバイクに比べてひとまわり以上も高い。コロナウイルスの影響は甚大で、本人は運転会に行きたくても、家族に足止めされ泣く泣く家に閉じ込められた愛好家も多いと聞く。同じ理由から運転会もほとんど開催されていなかった。

発動機運転会に行った方は体験しているが、発動機近くの空気は、灯油を燃料とする排ガスやディーゼル機関による黒煙、さらには飛び散るオイルなどで、鼻や喉が痛んだり、着ていた服に臭いが付くなど、ある種過酷な環境である。しかしコロナウイルスはそれを上まわる恐怖で愛好家をたじろがせていたのだ。今回3年ぶりに開催されたこの運転会は、コロナ以降ではおそらく最大規模の発動機運転会となった。遠方からの参加者には土曜日から会場入りする方もおり、前夜祭ならぬ練習運転会? が行われ、早くも盛り上がりを期待させる。開催日の天気予報は終日雨だったので例年より出足が鈍ったが(実際には降らなかった)約160人もの参加者と200台近い発動機や機械類が集まった。

この運転会の特徴は農業用機器や自走する機械類などを持ち込む参加者が多いことだ。会場は河川敷とはいえ、アスファルト舗装された広い敷地。そこで発動機の列を横目に、耕運機や自作の乗り物が走りまわる光景は、実に楽しいお祭り気分である。

久しぶりに顔を合わせる参加者達の会話も弾み、早くも来年の開催が話題に出るほどの盛り上がりだった。

 

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農機具のスプレイヤーからボディを取り外し、発動機運搬車? にカスタムされた車両。載っているのは「カルイ」の2.5馬力。


 

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ピストン、キャブ、電装品以外のほぼすべてを自製したという小型機関。既存の発動機に飽きたというオーナーは試行錯誤の末に10台程を完成させている。


 

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昭28年450cc 2馬力の「カナミツ発動機」を使い自作した乗用車。アルミ角パイプで組まれたフレームの中にはスーパーカブ用4速エンジンが積まれ、そのクランク軸をベルトで繋がれた発動機の動力で回している! 変速は手動式の4速だ。

 

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かつて本誌で「発動機小学生!」として取り上げた岩田さんは遠路岡山県から参加。愛機の「ストロング」2.5馬力は戦前物。


 

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1955年製のバイク「金剛」は営林局職員からの発案で生まれた珍車。エンジンはラビット用SV225ccだが、リヤアクスル先端から動力を取り出せる構造。ここにプリーなどを取り付けることで山間部でも作業用動力が取り出せる、移動式発動機でもあったのだ。

 

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「サトー式」焼き玉式と呼ばれるこの原始的な発動機は、島根県で1930年代初頭に考案された物。機関上部で炭を焚いた熱で点火する。


 

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発動機としては晩期に当たる昭和30年代前半に作られた「スギヤマ発動機」。

特筆は2気筒エンジンで、上部にタコメーターと油圧計も備える。


 

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三菱製「カツラ」と水ポンプによるデモンストレーション。田んぼの水揚げは引退しても、このようなギミックはオーナーの遊び心だ。


 

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この「かつらぎ号」は農民車と呼ばれるもので、1950年代の国産三輪車の部品と定置型エンジンを組み合わせた農耕作業車。

 


 

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林内作業車デルピス号は、群馬県の農林機械研究所製。この車両は林業に特化した機能と構造を持ち、フロントホイールまで駆動する3WDというから驚いた。


 

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古い茶箱上の発動機は「ビクター」だが、貼られたホーロー看板とのコントラストが美しい。手前はダットサンA型のヘッドカバーを利用した工具箱!


 

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会場で見たホーロー看板は昭和33年の皇太子ご成婚を記念したもの。

発動機だけでなくこうしたグッズを見るのも運転会の楽しみだ。


 

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