スーパーカーコクピット図鑑

スーパーカーの魅力はスタイルや性能だけでは語れない。

クルマとは運転手が操作して初めて動く。だから室内のデザインや雰囲気もスーパーであってほしいものなのだ。

古いスーパーカーのコクピットにはそんな魅力と特色が詰まっている。

 

 

DINO 246GTS

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黒一色のことが多いディーノのコクピットだが、現車はタンのレザーで包まれ明るい雰囲気を出している。

アルミプレートとされたメーターパネルには大小8つのメーターがズラリと並びスポーツカーらしい演出がある。

計器は左に時計・速度計が並び、中央は左上が水温、下が燃料、右上が油圧、下が油温計と並ぶ。

右の大きなメーターが回転計で端が電圧計。ステアリングホイールはイタリアの名門、ナルディ製でパワーアシストのないステアリングを過不足なく操作できる程よい大きさだ。上の写真は運転席(左)のドアを開けると現れる操作バーで、左から燃料給油口、エンジンフード、トランク用の各ロック解除バー。

上に持ち上げることで、それぞれのロックが解除され、フードを開けることが可能。

 

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ダッシュボード中央に並んでいるのは主に快適装備の操作系。純正ラジオの上は左からファンスイッチ、3本のレバーが空調コントロール用、右はハザードスイッチ。

ステアリングコラム右にあるイグニッションキーは、そのまま右に回せばエンジンがスタート。

シフトレバーのあるコンソール側は手前にクーラースイッチ、レバー右がチョークレバーでその右がシガーライター。灰皿はレバーの下。


 

 

FERRARI 365GTB/4

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黒いスウェード調のダッシュカバーが上品な印象の初期型デイトナ室内。ハンドル奥に8個装備されるメーターはヴェリア製。左端が燃料、隣に速度、中央の小型4連は上:水温・油温、下:油圧・電圧、そして回転、右端が時計となる。

ハンドルポスト左に見えるのはライトスイッチ。一方センターコンソールに目を移すと、4本の上下スライドレバー、3つのスイッチが整然と並ぶ。レバーはいずれも空調用で左右がデフロスター、中央2本がセンターダクトの開閉レバー。

その下は左端がブロワファン、右端がヒータースイッチ(中央は不明)。

その下にあるのはクーラースイッチ。シフトレバーの後ろにはシガーソケット、脇にはパワーウインドーのシーソースイッチが2つ配置される。その後ろは灰皿である。

 

1973年まで生産されたモデルだが、70代車のような奇抜さはなく、60年代からの伝統と格式を感じるダッシュボードだ。

最たる理由がナルディのウッドステアリングの採用。

これが70年に入り後期型になると、レザー巻きの穴あきスポークとなる。いわば60年代と70年代の端境期のデザインを持つのがデイトナである。

なお速度計は300㎞ /hスケール、回転計は6800rpmからレッドゾーンが始まる。


 

 

FERRARI F40

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MOMO製バックスキンタイプのステアリングホイールは新車装着時のものではない。

ステアリングリムの間から視界を邪魔することがないよう小さなデザインとされたメーターパネルは、左から水温、速度、回転、ブースト計が並び、間に各種警告灯とトリップリセットノブが配置される。

操作に必要なもの以外、余計な装飾を廃したデザインのため、誰でも即座に認識できると言えるだろう。

ステアリングコラム右のイグニッションはキーを回すだけでエンジンは始動せず、その脇にあるスタータースイッチを押して始動させる。

ダッシュボードの中央だけではなく上側にもベンチレーターが複数設置されていることでもわかるよう、意外なことにエアコンが標準装備で室内の空調は快適と表現できるレベルだ。

 

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フェラーリ・クラシケを取得して新車のような美しさを保つ。

クルマの性格を物語るように、シンプルにデザインされているのもF40ならではの特徴。ダッシュボード中央には油圧、油温、燃料の3連メーターが並び、下は換気用ファンスイッチと温度調整ノブ。

ステアリングコラム左には電動アンテナ、デフォッガー、フォグランプ、ヘッドライトスイッチ、右に独立してハザードスイッチが配置される。

 

FERRARI 288GTO

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ダッシュ中央には左から水温、油温、燃料計と並び、その下には両脇にファンスイッチと温度調整ノブが並ぶベンチレーター。ステアリングコラム右のイグニッションはF40と同様にキーを回してから脇にあるスタータースイッチを押してエンジンを始動させる。センターコンソールのデザインは308に似ているもののまったくの別物で、288GTO専用と言っていい。ゲートで仕切られたシフトレバーは伝統通りで、その右には上からヒーター温度調整、ベンチレーター切替のレバーが並び、その下には左右独立したファンスイッチと左にハザード、右にリヤフォグランプのスイッチを配置。

シフトレバーの下は丸いものがシガーライターで、その下には左右それぞれのパワーウインドースイッチが並んでいる。

 

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308をベースにしたとされる288GTOのコクピットは、やはり308の面影が残る。

ステアリングホイールはほぼ308と同じデザインだが、レザー張りのダッシュボードはバックスキンへ。

メーター配置も異なり、左の速度、中央上の油圧と下のブースト、右の速度計が備わるのみ。

コラム左に生えているのは奥のライトスイッチと手前のウインカーレバー。

ダッシュ側にはメーター照度切替スイッチが備わる。


 

LAMBORGHINI COUNTACH LP500S

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四角く横長のデザインはLP400でも500でも大きく変わらない。

アルミ地のパネルには左から電圧、油温、速度、油圧、回転、水温、燃料計が並ぶ。

メーターの下では左下にライト、シートベルト、バッテリー、右下にパーキング、ウインカー、ハザードの各警告灯が整然と並んでいる。

ステアリングコラム左のレバーはライトスイッチとウインカーを兼用しており、右にはワイパーレバーが備わる。

フレームにかぶさるデザインのセンターコンソールは上にベンチレーターが2つあり、下に左からライト、メーターライト、ハザード、フォグ、ブロワモーターのスイッチ。

下の丸いノブはエアコンのファンとスイッチで、その下にベンチレーター切替と温度調整ノブを配置。

中央の丸い穴はシガーライター。サイドブレーキレバーはセンタートンネルの内側に隠れるように配置され、その上はゲートで区切られたシフトレバーと灰皿が位置する。

 

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LP400からLP500に切り替わり外観のデザインを大きく変えたが、コクピットは同じデザインを踏襲していた。

内装色は外装色との組み合わせで複数用意されていたようだが、白やタン、赤のレザーが初期モデルには多く採用されたようだ。

LP400と500で異なるのがステアリングホイールで、400ではホーンボタンが小さなものだったが500からは大きなパッドが付くようになる。

堅牢なフレームが通るため、左右のシートは隔てられている。


 

LAMBORGHINI MIURA P400S

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ドライバー正面は左に速度、右に回転計の大型メーターを配置。

センター側に左上から水温、油温、左下から油圧、燃料、電圧、時計と6つのメーターが整然と並ぶ。

その下には警告灯がありパワーウインドースイッチが少々広い面積にポツンと置かれている。

ミウラの初期モデルにはパワーウインドーを装備しないものもあり、その場合この部分は平面。

現車はステレオを付けたため、新車時よりスイッチが上に位置する。

シフトレバーの左上にイグニッションが、右にシガーライターが配置され、レバーの左下はライトの昇降スイッチ、右がワイパーとなる。

オーバーヘッドコンソールは前に向かって左からライト、フォグ、電動ファン、メーター照明、デフォッガー、室内灯の各スイッチ。

その配列に順序や関係性は乏しく、初めて運転するときには誰もが戸惑うことだろう。

こうした点もスーパーカーという特別な存在では重要なポイントだ。

 

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メーターごとに独立したナセルを備え、立体的なデザイン。内装色は写真の黒のほかタン、こげ茶、白などが選べたようだ。

ステアリングホイールはP400からSVまで一貫して丸いスポークによる写真のものが採用された。

運転席が前方へ押し出された結果、足元が非常に狭いカウンタックに比べ、ホイールハウスの出っ張りが少ないこともミウラの特徴で、幅の広い靴でもペダル操作は可能だ。センター助手席側にアシストグリップを装備する。


 

DE TOMASO MANGUSTA

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エンジンこそアメリカ・フォードのV8を搭載するマングスタだが、コクピットデザインはイタリアの流儀が貫かれた豪華かつデザイン性の高いもの。

平らなダッシュボードにたくさんのメーターやスイッチが並ぶ様は、自動車というより航空機のようなイメージでもある。

ステアリングホイールは純正でウッドと革巻きが組み合わされたものを採用。

センターのアルミパネルにデ・トマソマークが入る。

 

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ダッシュボード左の上にワイパー、下にイグニッション、油圧、油温、時計の3連メーターが並び、速度と回転計へと続く。右の3連メーターは電圧、水温、燃料計で、その右はパワーウインドースイッチだ。

その横はフタがされているが、本来なら純正ラジオが装備される。センターのトグルスイッチは意味不明のものもあり、左はヘッドライトだがその隣2つは用途不明。中央は電動ファンスイッチで、その隣2つも用途不明。

右がデフォッガーのスイッチになっている。ベンチレーターの右にはエアコンのダイヤルが2つ配置され、ルーバーの下にあるレバーはヒーター用で上下に操作することで切り替わる。

備え付けの小物入れが備わるセンタートンネルには、ゲートで区切られたシフトレバーと灰皿が備わる。

 

DE TOMASO PANTERA GTL

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時代が進み次世代モデルのパンテーラになると、メーターやスイッチの数が多いことはマングスタと同じだが、デザインが70年代らしく立体的になる。

ドライバー正面の大型メーターは独立したナセルに収まり、ダッシュボードの中央からセンタートンネルへ繋がるような形状。

これは初期モデルだけの仕様で、73年以降は大型メーター部分だけが盛り上がる平らなダッシュボードを採用している。

 

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パンテーラのインテリアで圧巻なのは、やはりセンターコンソールに数多く配されたメーターやスイッチ類だろう。

左上の丸いものがメーター照度切替で、その横はライトスイッチ。

下にファンスイッチがあり、2つ並ぶのはパワーウインドー用だ。その下は室内用スイッチだが一番下は用途が不明。

中央のメーターは上から電圧、燃料、水温、油温計が並び、右は上から空調コントロールレバーとステレオ。

右端はクーラースイッチで、ステレオの横には電動アンテナのスイッチが配置されている。

パンテーラにもゲートで区切られたシフトレバーが採用されたが、現車はモディファイされノブ自体も新しい。

オーナーが行った操作性向上のための処置だ。

ワイパーとハザードスイッチはダッシュボード左に備わる。

 

MASERATI GHIBLI

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高いセンタートンネルが特徴的なインテリア。

ダッシュボードは外枠部分と、計器類やスイッチ類を配列するパネルを独立させた70年代車の香り漂う形状だ。

ドライバーの真正面に位置するメーター類は速度、回転、油圧、そして燃料計。

また空調吹き出し口の中央にスターター用シリンダーを置くなど独特なレイアウトを持つ。

なお運転席側のフロアに見えるのはパーキングブレーキレバーだ。

 

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ダッシュボードのセンターエリアには、各操作スイッチと小型メーターが横基調のレイアウトで美しく整然と並べられている。ヴェリア製の4つのメーターは左から電圧、水温、油温、そして文字板にマセラティのロゴが刻まれた時計へと続く。

右隣のダイヤルはクーラー調整用で、さらに対向の赤いノブがハザードスイッチとなる。

また、その下に目を移すと、オートウインドーのスイッチを中心にライトやワイパー、ファンなどをはじめとした各種スイッチ類が配列されている。

クロームメッキ処理を施した空調コントロール用の華奢なスライドレバーやシフトゲートリング、そこから延びるステッキのようなデザインのノブが付くシフトレバーなど、そのひとつずつのパーツに芸術品のような美しさを感じる。


 

 

PORSCHE 911 CARRERA RS2.7

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356時代から一気に近代化した911のコクピット。ドライバー正面にタコメーターを配置する5連メーターのデザインは、この後に続く930、964、そして993と、つまり空冷時代の30年以上変わらなかった。

それだけ完成度が高かったとのと同時に、継続して911を買い換えるオーナーのため、あえてメーターやスイッチの配置を継承した。

なお初代ナロー時代のステアリングは4本スポークタイプだった。

 

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空冷エンジンを搭載するモデルらしく、メーターは3つがオイル関係のもの。

メーターパネル左から燃料、油量、油温、油圧計が並び、中央の大型回転計となる。

右は速度と時計で、この配列も空冷時代通して変わらない。

ダッシュボード左端に小さくあるのが給油口のレバーで、ダッシュ上では左からライト、ハザード、イグニッションが並んでいる。その上に小さくあるのはスライディングルーフの開閉スイッチで、すでにこの時代から電動だ。

この位置も実に964時代まで共通だ。センター側には空調コントロールレバーが並び、その右にはリヤデフォッガーとシガーライターが並んでいる。

メーターやスイッチが数多く並んで壮観なイタリア系と異なり、素っ気ないとも言えるポルシェのコクピットデザインだ。


 

PORSCHE 911 FLAT NOSE

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基本は回転計の中に1barまで示すブースト計を備えた930系、911ターボと同様で、901世代に対しメーターフードの左右をラウンドさせたデザインとなる。

ここに座ると感じる空冷系モデルの美点は、切り立った細目のAピラーとサイドに回り込んだフロントウインドーによって視界がとても良好なこと。

これはスポーツカーにとって重要な性能だろう。なお現車のステアリングはノンオリジナル。

 

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フロアから長く伸びたシフトレバーによって、この部分だけを見ても空冷RRポルシェと分かる特徴的なインテリアと言える。88年式の現車では、モデルベースである911ターボと同じく、トランスミッションは4速タイプとなる。ダッシュパネルの中央には手の届きやすい場所に空調系の操作パネルを配置。

また、その下側のセンターコンソールにはハザードのほか、エアコン&ファンといったスイッチ類を集約している。

こうした点からも、あくまで乗用自動車としての性能を重要視したドイツ人の生真面目さが垣間見れるのである。

なお、フロアパネルから生えるブレーキ&クラッチペダルはポルシェ356世代から継続している。

またスロットルペダルは現代ポルシェまで継承されているオルガンタイプである。


 

 

CHEVROLET CORVETTE

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レッドとブラックの配色など、当時のアメリカ車に共通する奇抜なカラーコーディネートが際立つコルベットのコクピット。

ダッシュパネル上面から鋭角に落とし込む、古くからのシボレー各車に共通するデザインを取り入れながら、このC3型の最終仕様では、速度&回転計を一体式とした近代的な形とされた。

ステアリングにはチルト&テレスコピック調整機構も設けるなど快適性能面も追求する。

 

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センターではなくドライバー寄りに配置されたトランスミッションのセレクターレバーは、初代C1型から現在のC7型まで続く同車ならではのレイアウト。

また、ミッション本体を収めるために、大きくせり出したフロアトンネルをカバーするセンターコンソールがナビシートとの空間を仕切り、スポーツカー独特の心地よいタイト感を生み出してもいる。

回転計は5000rpmからレッドゾーン、速度計は140㎞ /hスケール。

センターパネル上に並ぶ5つのメーターは、上側が水温と燃料、下に並ぶ3つが左から油温、油圧、電圧計が並ぶ。

また、角張った各種パネルの形状と各部にクロームパーツがミックスされたデザインは、1970年代後半から80年代にかけての自動車に多く見られた近未来を感じさせる意匠と言える。


 

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