ノーマル風快適仕様 日産スカイライン2000GT(1977年式)
ノーマル風快適仕様 日産スカイライン2000GT(1977年式)
スカイラインに魅せられて ノーマル風快適仕様 女だてらのケンメリライフ
ミーティング会場にいる女性陣は大抵オーナー諸氏の連れである。
しかしノーマル然としたケンメリを見つけ、脇に立つ女性にダメモトで声をかければ、なんとご自身の愛車だった。
どうしてまた女性がケンメリ?との思いを胸に、改めてご自宅までお邪魔させていただいた。
アラフォー受けする?
ケンメリこと4代目スカイライン。とはいえ、GT −RでもなければハードトップGT改R仕様でもない。そう、サーフィンラインが見事に残るセダンだ。ここでヨンメリ、などと呼んではいけない。人気がハードトップに集中してしまっているから残存数の少ない4ドアセダンはケンメリならぬヨンメリと呼ばれ区別されるが、スカイラインの本流はセダン。それはケンメリだろうが鉄仮面だろうが変わりないのだから。
さてそのケンメリは、歴代スカイラインのなかでもっとも販売台数が多かった記念碑的モデル。じつに67万台以上を売り尽くし、テレビCMに起用されたバズの曲「愛と風のように」のレコードが30万枚売れたのだから、どれだけ人気があったのかわかろうというもの。時代は高度経済成長期とはいえ、これはやはり異例のヒットで、それには当時まだまだファミリーカーの基本だったセダンがラインアップされていたことが大きい。販売台数はセダンとハードトップで分けられていないので実際のところは不明だが、販売された多くのケンメリがセダンだったことは想像に難くない。
ところが、現存しているセダンは極端に少ない。それは売れた理由と同じ、ファミリーカーは惜しげもなく買い替えられるものだから。中古車としての人気もスポーティ車にかなわない。そして最大の理由は、2ドアHTは販売台数が1 95台と極端に少なかったGT −Rに似せた「もどき」が中古車市場で人気だったから。それは今も変わらないが、そんな時代だからこそセダンを愛する人もいるのだろう。しかも女性だとしたら、ちょっと興味を引く。それが今回紹介する髙杉美和さん。年齢は控えるが、独身のアラフォー女性なのである。俄然、どんな人なのか知りたくなるでしょう?
フロント同様、テールまわりも前期のパーツでモディファイしている。アルミホイールはRSワタナベの14インチをシルバーに塗装して履いているが、髙杉さんいわく「本当はSSRにしたいんですよね」。多数派に属することに抵抗があるそうだ。
クーラー+パワステは必須
取材にお邪魔するため待ち合わせたのは、とある休日の圏央道・狭山パーキングエリア。所属しているクラブ「オールドカー倶楽部東京」の定例ミーティングが開かれているからだ。勇んで会場へ駆けつけてみると、集まるわ集まるわパーキング一角はちょっとした旧車祭り会場。旧車乗りの皆さんは単身だったり奥様同伴だったりさまざまだが、やはり女性オーナーというのは髙杉さんおひとり。なんでまた旧車、しかもケンメリを選んだのだろう。
「キャブ最終のミニクーパーに乗っていたんですね。ミニで奥多摩の東京旧車会に遊びに行った帰りがけに、イイ音したケンメリが3台続けて走ってきた。その姿にひと目惚れしちゃったんです」
女性らしからぬ動機ではあるが、髙杉さんの行動力はここからが本領発揮。ケンメリたちのリヤウインドーに貼ってあったステッカーから、東京・瑞穂町でケンメリ専門店を開いているメリーズを突き止め、後日、店を探して通うこととなったのだ。
メリーズへ足を運ぶうちにケンメリがほしい気持ちは本物となり、代表の鈴木将史さんに少ない予算で理想のケンメリに乗ることはできないか相談することとなった。そのときにこだわったのは、サーフィンラインを残してできるだけボディや室内はノーマルのまま。毎日快適に乗るためクーラーとパワステを装備すること。ちょうど仕入れたままのケンメリがあり、それをベースにすることで話は決まった。
排ガス規制のかかった後期型に前期型のスッキリしたフロントマスクとテールまわりを移植し、エンジンをL28型改(出た!)の3ℓ仕様にしたもの。もともとボディの状態は悪くないし、クーラーやパワステを装備して負担もかかるからと、排気量を拡大したのだ。
気になる仕様は、当初3ℓのそれなりに速いエンジンだったのだが、髙杉さんの用途を聞いて若干ディチューンしている。キャブの口径を小さくしたうえでジェッティングも抑えた。これで低速からモリモリとトルクが出るため、クーラーを使っても問題なく街乗りできるレベルになるのだ。そのクーラーは最近流行の後付けパーツではない。なんとメリーズにはまだケンメリ純正のクーラー用コンデンサーやホースなどのアタッチメントが在庫されているのだとか。それらを用いてコンプレッサーだけは最近の軽自動車用を流用した。
これはパワステも同様で、ケンメリ純正を用いている。流用や加工でなんとでもなるのだが、できるだけ純正パーツで仕上げたいというのが鈴木さんのポリシー。貴重なパーツを在庫しているからできるわけだ。実際の効き具合はいかがなものか?
インパネまわりで変更しているのはステアリングホイールとシフトノブくらいで、かなりノーマル然としている。ほとんど欠品がなくベースの状態がよかったことを物語る。センターコンソール右脇にあるのは電動リモコンフェンダーミラーの調整用ノブ。
運転席のみ、ダットサン・コンペスタイルのバケットシートに変更。メリーズでは座面を低くするようにシートレールを加工しているとのこと。
エンジンは伝家の宝刀L28型改3ℓ仕様。髙杉さんが購入する前から載っていたそうで、パワステやクーラーを装備する
快適仕様にするため、あえてディチューンしている。購入して丸2年だが、エンジン関係はノートラブル。
この続きは・・・
旧車オーナー読本にてお読みください。
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