ほんとうに欲しかったのはCELICA(ダルマとLBそれぞれの冒険)
一生どこまでもセリカと一緒
1970年に登場したトヨタ・セリカ(A20/30型)は流麗なスタイルと、エンジン・内装を好みに組み合わせることができる
“フルチョイスシステム”で若者の人気を得た。誕生からほぼ半世紀。今、どんな冒険をオーナーと挑むのか。
26年目の’71年式セリカ1600GT
愛車セリカのレストアから8年経つがこの色艶。さすがはプロによるレストアだ。
若気の至りでシャコタンにし、いじり倒した愛車をプロのレストアで甦らせた。
これでまたずっと走り続けることができる。
中学生の初恋
徳川家康と豊臣秀吉のどちらが好きかと問われたら、どう答えるだろう。関西の人なら迷わず秀吉だろう。けれど関東人で家康と答える人は意外に少ない気がする。地方出身の人が多いからだろうか。秀吉の人たらし振りは有名だし美談も多いが、家康には人情より冷徹さを感じることもその理由だろうか。
古いクルマが好きな人には秀吉好きが多いのではないか。秀吉は若い頃から老齢まで、クルクルとよく回る頭脳と行動力で人や戦場をものにしてきた。歳月とともに小賢しく成長するよりも、子供のような純粋さを持ち続けられることに、我々は憧れを抱く。
旧車好きの心理もこれに近い。周囲から「捨てろ」とか「まだそんなポンコツに乗ってるの」などと言われても、自分が好きになったクルマへの愛情を貫き通す。付き合う女性がコロコロ変わるくせに、同じクルマに30年も乗っている方もいるくらいだ。よくクルマを女性に例えることがあるが、簡単には比較できない。
それがクルマの不思議な魅力だ。
その意味でこのターコイズメタリックがまばゆいセリカのオーナー・山中謙一さんは旧車乗りの典型だろう。そもそもセリカを好きになったのは中学生のとき。
『ヤングオート』という雑誌のピンナップになっていたセリカにひと目惚れした。それ以来、〝セリカひと筋〟なのだ。
とはいえ昭和45年生まれの山中さんが免許を取る頃にはセリカも20年落ち以上の大古車になっていた。これを初めてのマイカーにするのはさすがに危険だと、もっと新しいTE71カローラを選んだ。
ところが周囲のクルマ好きには硬派な?シャコタンもいたからTE 71 は「ナンパ仕様」などと馬鹿にされたそうだ。
AE86ストラットにAE92カートリッジを組んで車高を下げつつストロークを稼いでいる。ホイールはスターシャークがお気に入りで他にも数セットをストック。88.5㎜の亀有ピストンと3T型クランクを使って2ℓ化した2T-Gエンジン。ハイカムやバルブスプリング、インマニはTRD製でキャブはソレックスφ44。
若い頃から使っている当時モノのレーシングジャケットは傷も少なく程度極上。ボンネットをあけるときははじめにジャケットを手前に引き出す。
シートはレカロタイプのリクライニングするバケットを2脚入れた。もともと程度の良かった室内はいまだにダッシュ割れなどない。ステアリングは小径のナルディにし、灰皿を外して3連メーターを追加した。もちろんクーラーレス。
トランクルームやガソリンタンクも舐められるくらいの状態。走行中に荷物が移動して内部に傷をつけないよう、荷物を収納したボックスをゴムひもで固定している。
セリカの神々 (ヤエスメディアムック649)
今年誕生50周年となる初代トヨタ・セリカの魅力をまるごと1冊に凝縮。
初代セリカ(ダルマ、リフトバック)に焦点を当てて、旧車としての魅力をわかりやすい内容で紹介。
ヒストリー、レースシーンでの活躍を解説。
登場する車両はレーシングチューン、カスタムマシン、ノーマル車までさまざまなタイプ。
愛車に惚れ込んだオーナーたちもその魅力を熱く語ります。
かつてセリカに憧れた方も、これからぜひ手に入れたいという旧車ファンも必見です。
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