雑誌 サイクルスポーツの半世紀の歩み

雑誌 サイクルスポーツの半世紀の歩み

 

時代とともに、形を変えながら自転車乗りにとって魅力的な道を紹介し続けてきた。

当時の自転車と共に、時代時代でどんな記事が誌面を飾ったのか振り返ってみたい。

 

1970年代  実はツーリング記事が創刊当時はメイン

ランドナー

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今現在のサイクルスポーツ誌からは想像もできないかもしれないが、

創刊当初からサイスポの表紙やグラビアは、ランドナーのような輪行車を使ったツーリング記事がメインだった。

表紙には『実地踏査サイクリング・ガイド』とあり、グラビアでその土地の写真、

モノクロページで詳細なルート紹介と折りみマップを付ける手の込みよう。

その後、『あなたがつくるサイクリング・ガイド』企画がスタートし、

3泊4日で記者とカメラマンと同行できる読者を募集するように。

誌面に出てきているのは、応募してきた読者だろうか。旅情あふれるグラビアページが秀逸。

77年4月号からは根本淳氏による『峠を走る!』連載が始まる。


 

◆ブリヂストン・ダイヤモンドDT6110

1970ブリジストン・ダイヤモンド-74年1月号

東叡社やブリヂストン・ダイアモンドなど、ランドナーが主流だった時代。

ダートでも問題なく走れ、泥よけやキャリヤ装備の旅自転車だ。

『ツーリングはアルプスの世界です』のキャッチが有名だったアルプスは惜しまれつつ2006年閉店。


 

 

1980年代 ランドナーの時代からロードレーサーが主役に

ロードレーサー

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80年代も前半は、林道企画など70年代から続くランドナー主体の記事が目立ち、担ぎもありのパスハンティングのルートガイドも。

読者のツーリングレポや全国各地のエリアガイドは継続して取り上げられた。夏の北海道や信州の峠特集が組まれるようになったのもこの頃から。

しかし、時代は目まぐるしく変わり、ロードレーサーに主役の座を奪われる。

ツール・ド・フランスに代表されるレース記事やトライアスロン、サイクルショーなどの記事のかたわらで、

『真冬の峠越え』『富士山大滑走』などの冒険企画も。

『恒例!真夏に会った仲間たち』や『野宿入門』など若者たちの当時のツーリング事情が垣間見られる。


 

◆ブリヂストン・グランヴェロ500

1980ブリジストン・グランヴェロ-85年5月号

80年代半ばから欧州のロードレースやファニーバイクなどの写真が誌面をにぎわせ、より速く走ることへの欲求が高まる。

ブリヂストン・グランヴェロのようなロードレーサーの話題が増えた。ちなみにツール別冊付録は89年に初登場。


 

 

1990年代 MTBツーリングが全盛。ファストランも注目される

ツーリングレポ・林道コースガイド

P60差し替え

90年代に入ると誌面に躍るMTBの文字。オフロードを走るだけでなく、

ツーリングに使用する機会も多かった。90年~92年の夏の号で北海道特集が3年連続組まれる。

また、『奥滋賀林道ハードラン』『天竜スーパー林道』などの林道コースのガイドもカラーページで取り上げられていた。

『ツール・ド・のと』の初開催は89年。全国でサイクリング大会が開催されるようになり、その記事がルート紹介となったのもこの頃から。

90年代半ばからはファストランの長距離コースの紹介や本誌編集部員によるルートガイドのほか、

当時ツーリング関連の記事を多く執筆していた丹羽隆志氏が誌面に登場し、各地の道を取り上げた。


◆MTB ゲーリーフィッシャー・ジョシュアZ

1990ゲーリーフィッシャー-MTB-96年3月号

0年代後半よりMTBが表紙を飾るようになり、世の中のバ

ブル景気に合わせて、2000年初頭までMTBが巷にあふれた。

本来、山道やダートを自由に走るための自転車だったが、

ランドナーに代わるツーリング車として使われることも。


 

 

2000年代 しまなみ海道が初登場し、ライドイベントが各地で開催

ロードバイク ライドイベントコースガイド

P61差し替え

しまなみ海道を本誌で最初に取り上げたのは、99年6月号。

島根県のタクワサイクルが企画した日本海から瀬戸内経由で太平洋まで抜けるツアーに帯同した記事から。

その後20年で分かっただけでも20回は本誌で掲載。2005年1月号では表紙も飾った。

2000年にはツール・ド・美ヶ原が初開催。

ヒルクライムイベントを参考にして上りルートへ走りに行く人も増えたのでは。

2006年にはついに佐渡ロングライドが開催。ロングライドイベント紹介記事が誌面をにぎわす。

ロードバイクがブームとなり、ツーリングも自然とロードバイクを使用したスタイルに変わった。

石田ゆうすけ氏の『僕の細道』も2006年9月号から連載開始。

 


◆ピナレロ・ドグマFPX

2000ピナレロ-06年10月号

MTBの後に人気となったのが、ロードバイク。クロモリの頃のロードレーサーから素材はアルミ、

そしてカーボンなど多岐に及んだ。

ピナレロのドグマなど人気モデルが登場したことにより、ロードバイクは今日に至るまでメインに躍り出た。


 

 

2010年代 『あなたが選んだベストロード』と『ニッポンのじてんしゃ旅』

東日本大震災が発生した後の2011年6月号で、読者からの投稿を別冊付録にまとめた『あなたが選んだベストロード』企画を行った。表紙の写真はラピュタの道。

しかし、2016年4月の熊本地震で崩落してしまった。2014年11月号からしまなみ海道を含めた、

瀬戸内7海道を紹介する『ニッポンのじてんしゃ旅』企画がスタート(のちにムック化)。

その後、2016年に青森県、2017年に滋賀県と茨城県、2018年は和歌山県と大分県のじてんしゃ旅を短期連載として取り上げ、

それぞれサイクリングガイドムックとして刊行。

各地方自治体で自転車を使った観光誘致の機運が高まり、誌面でもサイクリングルートを取り上げる機会が増えた。

 

ニッポンのじてんしゃ旅

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◆エンデュランスロード スペシャライズド・ルーベ

2010ルーベ画像2+

より速くから、より快適を重視するようなロードバイクが出始めたのがこの頃。

スペシャライズド・ルーベなどがその代表。

使用目的もレースではなくロングライドに使うライダーに受けた。またグラベルバイクも現代版ランドナーと言える。


 

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