【浦賀〜伊豆下田】吉田松陰・黒船に思いを馳せる旅

白い絵の具とほどよい湿気を含んだ空の青は
真冬のそれと比べると、どこか優しくて暖かい。
きらめく水面に目を細めつつ、かつてこの穏やかな半島の突端を舞台に
日本の将来を揺るがす一大事に思いを馳せる今回の旅。

 

 


 

2つの半島にゆかりある異人変人にも思いを馳せて

伊豆半島・下田とともに、黒船来航ゆかりの地である三浦半島・浦賀。
さらには吉田松陰とペリー総督との関係も興味深い。
日本が近代化へと舵を切るきっかけになった、黒船来航とはどのような出来事だったのか?
旅をする中で、そんな探究心が強まっていく‥。

 

三笠公園

連合艦隊の旗艦として日 露戦争に従軍した、戦艦三 笠が園内に保存されている。
艦内の展示室には旧海軍の 制服や装備、日露戦争関連の資料が展示され、かつて東郷平八郎が指揮を執った 公室や参謀長室、艦長室が復元されている。
東京湾唯一の無人島、「猿島」に渡る船の発着所もここにある


 

公園のデッキからは東京湾に浮かぶ無人島、猿島や行き交う船を眺められる。
米海軍や海上自衛隊の軍艦を間近に見られるクルージングも実施している。


 

ペリー艦隊が上陸した場所に近い、伊豆半島・下田公園にある上陸の碑。
開港地に選ばれた理由は、外洋に面していて物資や燃料が調達しやすかったからだという。


三笠公園

 

 

比与宇隧道(ひようずいどう)付近

戦前まで横須賀線の田浦駅構内から周辺の軍需工場や弾薬庫まで引き込み線が敷かれ、
弾薬の積み下ろしは敵国に知られないようにトンネル内で行なわれた。
トンネル内でスイッチバックして方向転換する構造になっていて、レール同士が平面交差するダイヤモンドクロスも現存している。


 

 

逢坂(おうさか)橋

ペリーロード周辺はかつて「逢坂町」「坂下町」「弥治川町」という地名で呼ばれていて、今でも橋の名前としてその記憶をとどめる。
川沿いにはしゃれたカフェや雑貨屋が並ぶ。


 

 

柿崎弁天島公園

柿崎弁天島公園内にある吉田松陰と弟子の金子重輔の像。
ここから夜間人目を忍び、小舟でアメリカ艦船に接近し、密航を企てた。


柿崎弁天島

 

 

三浦半島は相模湾沿いをドライブ

三浦半島からの移動はひたすら相模湾沿いを走る。

 

昼飯は新鮮採れたての魚介類で決まり。
小田原市内に寄り道して、魚屋直営の定食屋で絶品の海鮮丼をいただいた。


 

道の駅「開国下田みなと」に隣接する、下田湾を一望できるまどが浜海遊公園。
24時間無料の足湯や休憩所、釣りもできる海岸遊歩道が備わり、ドライブ休憩に最適。


開国下田みなと

浜海遊公園

 

弁天島公園

沖に停泊する異国の船を眺めた松陰の心境はいかに。
密航に失敗した松陰は、尊皇攘夷論が高まる国を憂い、 命がけで海外を目指す気持ちを「かくすれば かくなるものと知りながらやむにやまれぬ 大和魂」と詠んた


弁天島公園

 

 

下田開国博物館

ペリーが去った後、ロシアの使節プチャーチンが訪れ日露 和親条約を結び、アメリカ領事館も開設されるなど、日本初の開港場として栄えた歴史を学べる博物館。
開国に関連する豊富な資料・遺品のなかから、約1000点を入れ替えて展示


下田開国博物館

 

ペリー艦隊来航記念碑


 

ペリーロード界隈

開港当時は花街として栄えたペリーロード界隈。
風情たっぷりの雰囲気で、映画やドラマのロケにも多用される。柳並木沿いに”ハイカラ”な雑貨屋やカフェが並ぶ。


 

カワズザクラは早咲きの オオシマザクラ系とヒカンザクラ系の自然交配種とされ、
河津町内で昭和30年ごろに発見された。温暖な気候も加わり、早いものは2月上旬から咲き始める。


 

 

近代化の足がかりとなった遺産を訪ねて

「当時どのようにしてこんなものを・・・」
先人たちの気の遠くなるような作業や発想のもとに造られた文化遺産を目の当たりにして、
改めて思う、日本のモノづくりのすばらしさ。

 

韮山反射炉近くの土産店で発見して記念撮影。
看板の主は反射炉の建設に尽力した江川英龍。
英龍は反射炉の完成を見ることなく死去したが、息子の英敏に受け継がれた。


 

欧米列強に対する軍事力強化が迫られていた最中、黒船が来航。
海防の責任者だった江川英龍は大砲を鋳造す るのに不可欠な反射炉 建造を幕府に進言した。


江川英龍

 

 

韮山反射炉

1858年に完成した反射炉。内部の 天井がドーム状になった炉体部やレンガ積みの高い煙突のほか、燃料となる炭置小屋や鍛冶小屋、錐台小屋(水車の動力で砲身の内部をくり抜く作業場)など、
大砲生産に関わる工程を炉の周辺に集めて、効率的な生産体制を敷いていた。

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韮山反射炉

 

 

天城山隧道(旧天城トンネル)

主だった交通手段が海路しかなかった南伊豆の「陸の孤島」状態 を解消すべく、明治33年に起工、 同37年に竣工した、全長446m、幅3.5mの石造隧道。
当時の優れた石材加工技術が随所に見られる


天城山隧道(旧天城トンネル)

 

 

下田のひもの

伊豆土産の代表格が相模灘や駿河湾で採れた新鮮な魚介を使った干物。
外浦海岸の「ひもの万宝」では、買った干物をその場で炭火焼きにして食べられる。

 

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炭火で炙られほどよ く脂の落ちた干物は美味で絶妙な塩加減も◎。
定番のアジや金目鯛、珍しい伊勢海老のほか、高級魚「のどくろ」の一夜干し(写真)もオススメ。

ひもの万宝

 

 

外浦海水浴場

下田に近い外浦海岸は遠浅で子どもでも安心して海水浴が楽しめる。
透明度も高く、シュノーケリングやシーカヤック体験ができる


外浦海水浴場

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