「でんどう虫Z」と命名されたカスタムクルマ、フェアレディZ然としたスバル360

若さが旧車遊びの常識に挑む

現行の車両と違い、旧車はタマ数が減る一方、だから現存車はそのままの形で残すべき、 という意見には納得できる。
だが、オリジナルを重視するあまりクルマで思いっきり遊べないのは寂しい気もする。
今回のこちらの「でんどう虫Z」は、もっと救難に旧車を楽しむ、旧車好きの常識を覆すフォルムだ。


 

 

作ったのは、埼玉移動車大学校の若人達

従来の趣味人では躊躇してしまいそうなカスタムだが、平均年齢21歳という学生達は驚くほど簡単にその常識を打ち破り、新しい世界を切り拓いてくれた。

 

メーカーにとらわれずあらゆる自動車整備に即応できる技術と知識を身に付けられる専門学校である。オープンキャンパスや学園祭を通して、学校の雰囲気も体験できるのでサイトを要チェック。


埼玉自動車大学校

 

 

古いボディに詰めた最新技術

ベースとなったスバル360の 全長は2996mmだが、ホイールベースを250mmほど伸ばしている。
車両重量は測定していないものの、フロント延長など架装分も考えると新車当時の410kgよりは確実に重くなっている。


 

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テールランプやミラーなどはS30Zのものを使用、オーバーフェンダーは汎用品を切って装着。
フロントスポイラーもS30Z用の社外品を流用して作った。

 

フロントに48Vのリチウムイオンバッテリーを載せている。
実は学内の EV部からの借用品らしい。1回の充電でおおよそ100km走行できるとのこと。


 

 

個性的なるインテリア

「360の内装ってすご くシンプルなので、いかにZらしくするか? というのが課題」と聞く。
ステアリングは学校にあったものを使ったがステアリングボスは自作。
速度計はスバル360のもの。
こだわりの3連メーターは湿度計、時計、温度計で「らしく」仕上げた。


 

スバル360 オリジナルのフロントシートを後ろに下げ、リヤシートとして再利用。
運転席と助手席には、ダットサンコンペティションシートを入れている。
ゴム類は純正品がとにかく見つからず、廃棄される軽自動車から引っこ抜いてきたものを加工調節して使用。


 

 

スバル360変身記

カスタムに着手する前のスバル 360。
載っていたはずのエンジンはカットモデルにしてしまったのか、見当たらなかった。
EV化されてからレースなどにも参加していたものの、そのうち使われなくなり実習場の片隅に……という経緯だった(以下、作業の写真は埼玉自動車大学校からの提供)。


 

フロントまわり延長作業の様子。ファイアウォールより前の部分は一度取り除いてしまっている。鋼材を使って補強を入れながら慎重に骨格を作り、FRPなどを用いて成形した。


 

鋭い形を表現するのにとても苦労した、でんどう虫Zの顔。
スバル360のライトまわりのパーツをベースとして作り込んでいく。


 

ボディを整形。車体中央部はスバ ル 360 のスタイルを活かすが、 フロントとリヤはS30らしく整える必要がある。
写真はリヤをFRPで形作り、ボディとの継ぎ目をパテで埋めているところ。


 

サフを研いで、ボディの本塗りに入る。メタリックなブルーの美しい色。


 

 

ハイスペックでもゆるく乗るのが粋。魅せて楽しませよう。

計算上は100 km/hまで出せるスペック。
とはいえ普段は 15 km/h程度の速度で移動させている。


 

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Old-timer(オールドタイマー)2016年 04月号

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