トミカファンのコレクター魂が凝縮されたオススメの一冊『森永卓郎 トミカコレクション』
集める楽しさを知る
2021年10月に八重洲出版から発売された『森永卓郎 トミカコレクション』(定価3300円)。本書をさっそく手にしてご満悦なのは、本誌表紙画家で大のミニカーファンである沼尻 新さんだ。
手にした『森永卓郎 トミカコレクション』にじっと見入る沼尻さん。
本誌オールドタイマーの表紙画を第2号から30年間、描き続けてきた画家の沼尻 新さん。幼少期からクルマが大好きだったという沼尻さんはミニカーのコレクターでもある。収集した内外のミニカーはおよそ1000台ほど。「初めてミニカーを買ったのは1965年、中学2年の頃でした。モデルペットのトヨタスポーツ800だったかな」(以下、沼尻さん談)
当時、巷はスロットレーシングのブーム。模型工作雑誌もスロットレーシング一色だったが、「お金がかかるので、僕はやりませんでしたね」。といってミニカーが安かったわけではない。外国製のコーギーやディンキーはひとつ400〜600円はした。大卒初任給が2万円に満たず、かけそば一杯が50円だった時代である。
「お小遣いを必死に貯めて、やっと1台買う感じ。お正月のお年玉が出たら、贅沢して2台まとめ買いしちゃったり」
ミニカーはデパートのオモチャ売り場の花形で、おいそれと子供が買えるものではなかった。そして’70年、トミカが発売される。当初の価格は180円と外国製ミニカーに比べてかなりリーズナブル。そのため気軽に、かつマニアックにコレクションできる喜びを知ったという。
「同じモデルで何種類か色違いがあるでしょう。それが欲しくなるんですが、ひとつの店には1色しかなかったりする。どうしても全色集めたいから、デパートやオモチャ屋さんを訪ね歩くんです」
また、メーカーから毎年発刊される『トミカカタログ』には「絶版車コーナー」というのがあり、近々廃番になるミニカーがリストアップされていた。これもまたコレクター心に火を付けた。
そんな沼尻さんがうれしそうに『森永卓郎 トミカコレクション』を手にした。
そして「う〜ん、すごいですね」と唸る。
この本には、そんなトミカファンのコレクター魂が凝縮されているという。
「どれもすばらしいコレクションぶりで、森永先生のマニアぶりには頭が下がります。それにミニカーひとつひとつの写真が大きくてきれいですね。これは貴重な資料です」
今回、撮影用に沼尻さんのトミカコレクションの一部を見せていただいた。普段は保管庫にしまっているそれらをテーブルの上に並べて、この本を見開く。「いいですねえ。少年時代の熱い想いが甦りました」。ミニカー愛好家の夜は更けていくのである。
以下、沼尻さんのコレクションより。トミカ発売当時に買った、いわゆる黒箱シリーズの一部。右のホンダTN360はドアノブがない初期のもの。奥のエルフはいすゞレーシングチームのサービスカー。
手前右はいすゞエルフの衛生車。左は同マイパックのガレージ伊太利屋仕様。黒いクルマはトヨタセンチュリー。右奥のハイエースはキャンピング仕様。
グレイハウンドバス(手前)とウィネバゴモータホーム。いずれも1981年にアメリカ旅行をしたとき現地で見たものだが、たまたまトミカに同型モデルがあった。
「マニアが見たら怒るだろうな」と言うこの2台。フェアレディZ432ベースの240Zサファリ仕様で、沼尻さんが自分でカスタムした。
『森永卓郎 トミカコレクション』(定価3300円)。森永卓郎氏のB級館収蔵モデルより約3000台の貴重なトミカを収録。
収録ジャンルは初期モデル、バス、外国車、働くクルマ、重機、ライブトラック。
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