ピットハウスが手がけるチューンドZ フェアレディS30Z

ピットハウスが手がけるチューンドZ S30Z

 

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毎日乗れる日常性と300psの非日常性

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チューニングエンジンに何を求めるかといえば、誰でもパワーと答える。だが、どれだけハイパワーを実現しても、それが1000キロしか保たなければどうだろう。

レースに使うのであれば問題ないが、車検を取得して一般公道を走るクルマにとっては無意味なものと言える。どれだけハイパワーであっても、それが1年2年と変わらず味わえなければ費用対効果は限りなく低くなってしまう。

 

S30フェアレディZの人気が今も昔も変わらず高いのは、L型エンジンをチューニングすることで現代でも通用する高性能スポーツカーになるから。だが、過去にチューニングされたL28型エンジンは今ほとんど残っていない。ハイパワーを達成しても耐久性が低かったため、大抵のエンジンがブローしているのだ。それゆえにクルマを手放してしまった人も数多くいることだろう。だが、今なら300psを発生するL28型3リッター仕様を、長く楽しむことができる。例えばピットハウスには、ハイパワーな3リッターエンジンとしながら、何年も乗り続けてきたクルマがある。

赤い昭和50年式の後期型Zは、年間1万キロ以上走らせている個体。同じL28エンジンでもマニアブロックと呼ばれるN42を使うのがポイント。ピットハウスの工場長によれば、適正なクリアランスによる組み付け技術や加工精度の高さにより、

日常的に使えるエンジンになるというのだ。

亀有エンジンワークス製89.5φピストンとカムシャフトを使いポート加工やアルゴン溶接を用いない燃焼室加工を施す。

 

 

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しかも日常的に使うためクーラー装着を前提として圧縮比を11.3に設定。エンジンパーツはすべてバランス取りをすることで、ハイパワーと耐久性を両立するのだ。

エンジンに組み合わせたミッションはR31スカイライン以降に採用された71Cのクロス仕様。クラッチは亀有エンジンワークス製スーパーシングル。ハイパワーに十分対応する駆動系だが、意外にもボディはノーマル。ベースの状態が良かったため、大きな加工はしていないという。

日常的にハイパワーを楽しみ、それが何年も続く。過去には考えられなかった離れ業を実現するピットハウスだが、それには素性の良いクルマをベースにすることが重要だという。いくらいいエンジンを作っても、ボディが悪いとパワーを生かせないからだ。そして国領社長は日本全国から素性の良いクルマを探し出すことを得意としている。だから、年間1万㎞以上走っても壊れないチューンドZが出来上がるのだ。


 

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ベースになったのは後期型の75年式。ワンテールにしがちだが、オーナーのこだわりであえて後期の分割テールランプのままにしている。


 

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ダットサンコンペ・ステアリングが映えるキレイなインテリア。ミッション位置は純正と同じだが、より操作性・耐久性に優れる71Cに変更してある。


 

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センターコンソールは純正を生かして警告灯やスイッチを増設している。新車時からのAMラジオなどは変更しない。

純正ヒーターとは別にスターロード製クーラーを助手席側に装着。高回転まで回しても壊れることがなく、安心して使える。

 

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1/L28型を89.5φ亀有ピストンにより3リッター化。クーラー装着を前提として圧縮比は11.3:1に設定。亀有93Aカムにより日常性のある300ps仕様となっている。2/3連装したソレックス44φキャブレターは4型。長く乗りたいならエアクリーナー仕様がベストでブローバイもしっかり戻してある。

 

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エアダムタイプのフロントスポイラーは亀有エンジンワークス製。オーナーの好みでクリアレンズの輸出用サイドマーカーを装着している。


016_P14-004ロンシャンXR-4ホイールは前後とも8J×15でネオバAD07タイヤは205/60R15。ビルズ製フルタップ全長調整式サスペンションを組んでいる。


 

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ローダウンした車高が絶妙なスタンス。深紅のボディはベースの程度が良かったため、大掛かりな補強や溶接はしていない。シャキッとしたボディを再現するためには、ベース車の選び方が重要ということだ。スチール製にこだわったピットハウス・オリジナルマフラーは温かみのある音質。


 

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ボディは純正のまま。ノーマルのフェンダーとロンシャンXR-4がほぼツライチ。アドバン・ネオバのトレッドパターンがスポーツカーらしい雰囲気を高める。


 

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前期のS30とは中央の柄が異なる後期の純正シート。まだ張り替えていないというから驚きの程度だ。


 

 

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